栗葵と愛の出逢い

愛(ちか)が小学6年生、栗葵(りつき)が中学3年生の時、秋桜の紹介によって出逢う。

最初こそ「愛ちゃん」「氷見さん」と呼び合いぎこちなかったものの、お互いに似た部分を感じ取ったのか、会話を交わすうちにすぐ打ち解けた。


両親のもとを離れ、親戚の家をたらい回しにされながら過ごす愛を不憫に思った栗葵は、両親の代わりに保護者会に参加したり、秋桜とともに授業参観や運動会などにも姿を出した。

愛の両親は、母親は事故で寝たきりになり、父親は息子(愛の弟)を病で亡くしたショックと愛する妻が寝たきりになった事実に打ちのめされ、愛の世話をする余裕が無くなっていた。愛を捨てた訳では無いので、愛も時々両親へ会いに行った。彼女を両親のもとへ連れていったのは最初は愛の従姉である秋桜だったが、やがてその役割は栗葵に移り、栗葵は愛の両親にも頼られる存在となった。以来、母が衰弱していく様を見るのが辛くなり、愛がそのもとへ行くのを避けるようになってからも、栗葵は彼女の両親とコンタクトを取り続け、愛と両親の関係が途切れてしまわないように尽力していた。


また、愛は一年毎に親戚の家を転々としていたが、親戚の中には、隠れて暴行をする者や、まともな生活すらしていない者もいた。栗葵は愛が我慢の生活を強いられていることを知るや、彼らに改善を求めて策を練ったり直談判したりした。そのうちに栗葵は、ほとんどの愛の親戚たちから疎まれる存在となった。どうして彼がそこまでしたのかと言えば、純粋に愛の幸せを願っていたからであったが、親戚たちは金目当てだ、何か裏があるに違いない、と勘繰ったのである。

やがて栗葵は、自分が傍にいるとむしろ愛やその家族にとっては悪影響になるのではないか、と考え距離を置き始めたが、その頃には愛も両親も、彼の存在が必要不可欠になっていた為、懇願されて今までの関係を保つことにした。


余談であるが、愛の両親は愛と栗葵は将来結婚するものと早くから確信していたらしく、愛をよろしくね、と栗葵に度々声をかけていた。栗葵は、最終的な決断は愛に任せるとした上で、両親からのお願いを受け入れた。しかし最後まで「自分以上に愛を想ってくれる人が現れるかもしれない」と考え、愛が24歳になった時、彼女に他の好きな人が居なければ結婚しようという約束をした。愛は栗葵以上の人など居ないと考えていた為、先の長さに少し不服だったようだ。


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